出版が通ると、いきなり静かになります。ストアにページはあるのに、誰も来ない状態です。
Kindle出版は出す難易度が低い代わりに、読まれる難易度が下がりません。この記事では、読者が本に到達する経路を、KDP公式の記載で確認できる範囲だけ整理します。
[!IMPORTANT] 「必ず売れる方法」は書きません。順位を約束するやり方はKDPの資料から確認できないうえ、 このサイトは確認できないことを書かない方針で運営しています。ここで扱うのは、 KDPが「見つけてもらうための設定」として案内している範囲だけです。
最初の72時間は待つしかない
まず順序の話です。KDP公式の記載はこうです。
本が購入可能になると、検索結果に表示されるまでに最大 72 時間かかります
購入できる状態と、検索で見つかる状態は別です。出版直後に自分の本を検索して出てこなくても、この時間内なら異常ではありません。
商品ページのURLを直接シェアする
ページ自体はできているので、リンクは機能します。
「Amazonで検索してください」と告知する
最大72時間は検索に出ないことがあります。
KDP公式の記載に基づく整理です。
告知するならリンクを直接貼るほうが確実です。
カテゴリーは本棚、キーワードは検索語
KDP公式「KDP カテゴリー」は、カテゴリーをこう説明しています。
Amazon の本のカテゴリーは、本を特定のジャンルやトピックに整理するデジタル本棚のようなものです。「SF」や「ロマンス」など、実際の書店のセクションと同じ目的を果たします。
そしてキーワードとの関係も同じページに書かれています。
著者は、潜在的な読者が購入しそうな場所に本を掲載することを目的として、KDP で本を作成する際に 3 つのカテゴリーを選択できます。これらのカテゴリーは、選択したキーワードとともに、デジタルストア (Amazon.com など) のどこに本を「並べる」かを Amazon に伝えます。
カテゴリー
本を棚に分類する。選べるのは3つ
キーワード
検索した読者と本を結ぶ。最大7つ
KDP公式「KDP カテゴリー」「キーワードを利用して本を見つけやすくする」の記載に基づきます。
カテゴリーで棚を決め、キーワードで棚にない言葉を補う、という分担です。
キーワードは7つ、タイトルにない語に使う
KDP公式「キーワードを利用して本を見つけやすくする」のベストプラクティスです。
最大 7 つのキーワードまたは短いフレーズを使用しましょう。入力欄の文字数制限に注意してください。
できる限り論理的な順序でキーワードを組み合わせましょう。利用者は、"時代小説" で検索することはあっても、"小説 時代" で検索することはありません。
同じページには「避けるべきキーワード」の一覧があり、7つの枠を無駄にしないための線が引かれています。主なものは次のとおりです。
- 本のメタデータ(タイトル、著者等など)に示されている情報
- 本のカテゴリーですでに言及されている単語
- 品質に関する主観的な主張(「過去最高の本」など)
- 時間に関する言及(「新刊」、「販売中」、「配信中」など)
- カテゴリーに含まれるほとんどの商品に共通する情報(「本」など)
- Amazon プログラムの名称(「Kindle Unlimited」、「KDP セレクト」など)
逆に有効なタイプとして、設定・登場人物のタイプや役割・プロットのテーマ・ストーリーの雰囲気が挙げられ、「一般的な単語よりも具体的な単語の方が良い結果を得られます」とも書かれています。
ここは7つの枠を「埋める」のではなく、「読者が打つ言葉に当てる」作業です。
ここから言えるのは、広い語ほど当たりにくく、すでにタイトルやカテゴリーで拾われている語を重ねても枠の無駄になるということです。
広い語を入れる(例: 副業、健康、勉強)
競合が多く、当たりにくい
本の中身の固有名詞を入れる(例: 具体的な地名・製品名・資格名)
検索した読者と結びつきやすい
読者が実際に打つ言い方を入れる
有効
自分が使う専門語ではなく、読者側の言葉で考えます。
タイトルに入っている語を7つに並べ直す
枠を無駄にしている可能性がある
タイトルは別に検索対象になるので、キーワードは補う語に使うほうが効きます。
KDP公式「キーワードを利用して本を見つけやすくする」のベストプラクティスと「避けるべきキーワード」を、実用書に当てた整理です。
商品ページで読者が見るもの
検索から来た読者が判断に使うのは、表紙・タイトル・紹介文です。この3つは出版後も変更できます。
紹介文について書けることは1つです。最初の数行で「誰のための本か」が分かるようにする。ストアでは紹介文が折りたたまれて表示されるので、続きを開いてもらえるかは冒頭で決まります。
なお、商品ページにはA+コンテンツという拡張もあります。KDP公式は「画像、テキスト、比較表を Amazon の詳細ページに追加して読者が本を見つけやすくし、本の購入を検討する際は詳細情報を提供できます」とし、「A+コンテンツは、出版されている KDP 本でご利用になれます」としています。つまり出版後に追加で作れる部品です。ただし効果(どれだけ売上に効くか)についてKDPが示している記載は確認できなかったので、この記事では機能の存在の紹介にとどめます。
無料キャンペーンをどう位置づけるか
KDPセレクトに登録していれば、最大5日間の無料キャンペーンか Kindle Countdown Deals が使えます(ただしKDPは「Kindle Countdown Deals は Amazon.com および Amazon.co.uk のマーケットプレイスでのみ実行可能です。Amazon.co.jp では販売されていません」としています)。KDP公式は「90 日間の KDP セレクト登録期間中は、本の無料キャンペーン、または Kindle Countdown Deal (KCD) のいずれかを実施できます」としていて、1回の登録期間で使えるのはどちらか1種類です(KDPセレクトに入るかどうかで扱っています)。
無料キャンペーンで読者が増えるかどうかは、本と時期によって変わります。仕組みとして言えるのはここまでです。
- 無料期間中は販売ロイヤリティは発生しない(値段が0円なので)
- KDPセレクト登録中なら、Kindle Unlimitedの読者には読まれたページ数(KENP)でロイヤリティが立つ
- 「無料にすれば必ず読まれる」という関係は、KDPの資料から確認できません
自分の外の導線を持っているかが効く
最後に、仕組みの話ではなく構造の話をひとつ。
Kindle出版はAmazonの中で完結するので、Amazonの中だけで戦うと新刊は不利です。まだレビューもランキングの実績もない本が、検索結果で既存の本に勝つ理由がありません。
このサイトの運営者が1冊目を出したときも、読者はブログとSNSから来ました(体験談に書いています)。自分の外の導線を先に持っているかどうかが、出したあとの立ち上がりを大きく変えます。
これは裏返すと、ブログやSNSを先に持っている人にとってKindle出版は相性がいいということでもあります。すでに読者がいる場所から、本という形にまとめたものへ送れるからです。
まとめ
- 購入可能になってから検索結果に出るまで最大72時間。告知はリンクを直接貼るほうが確実
- カテゴリーは本棚(3つまで)、キーワードは検索語(7つまで)。カテゴリーはキーワードとともに本を「並べる」場所をAmazonに伝える
- キーワードは最大7つ。タイトル・著者・カテゴリーにある語や「新刊」「Kindle Unlimited」などは避けるべきキーワード
- 表紙・タイトル・紹介文は出版後も直せる。紹介文は冒頭で誰のための本かを出す
- 無料キャンペーンは最大5日間(KDPセレクト登録時)。Kindle Countdown Dealsとはどちらか1種類だが、KCDはAmazon.co.jpでは使えない。効果を保証する仕組みではない
- 自分の外の導線を持っているかが、出したあとの立ち上がりを分ける
次は、実際に出したときの記録(体験談)です。印税が入りはじめてからの手続きはKindle出版の開業届の出し方にあります。

