「ライバー」は新しい職業です。開業届の職業欄に何と書くかは、切り抜きチャンネルと同じ種類の悩みになります。
決まった書き方はない
職業欄は自由記載です(共通編)。配信の実態から選ぶと——
配信活動が中心
ライブ配信業・配信者
歌・トークなど出演的な性格が強い
タレント業・芸能
「ライバー」と書く
伝わるが概要欄で補足を
概要欄に「ライブ配信アプリでの配信活動」と書けば実態が明確です。
実態が伝わる一般的な言葉を選びます。
具体的に書くのは「事業の概要」欄
開業届の様式で書き方の指示が印字されているのは、職業欄ではなくその下の「事業の概要」欄です。欄の見出しに「できるだけ具体的に記載します。」とあります(共通編)。ライバーなら、職業欄を「ライブ配信業」と短くして、概要欄で中身を分けて書くと実態が伝わります。
- 1
何を
ライブ配信(歌・トーク・ゲームなど配信の中身)
- 2
誰に
視聴者からの投げ銭・ギフト、事務所や企業からの出演・案件の報酬
- 3
どの経路で
使っている配信アプリ・プラットフォームの名前
当サイトの整理で、国税庁が示している記入例ではありません。実態に合わせて書いてください。
確定申告書の職業欄は、毎年の実態で書く
確定申告書の第一表にも「職業」欄があり、こちらは国税庁の手引きに事業の内容を具体的に、兼業しているなら全ての事業を書くよう指示があります(原文は共通編)。配信に加えて切り抜きの受託や物販もしているなら、その年の申告書には全部並べます。開業届の職業欄と一字一句そろえる必要はありません。
個人事業税の一覧に配信業は見当たらない
東京都主税局の法定業種の一覧(第1種〜第3種・70業種)に、「配信業」「ライバー」という名前は見当たりません。ただし、ここから「個人事業税がかからない」と結論するのは早計です。
- 判定は名称ではなく実態で行われます。地方税法72条の2の列挙には「電気通信事業(放送事業を含む。)」「演劇興行業」があり、活動の中身によってはこうした業種に当てはめられる可能性が残ります
- 当てはまるかどうかを一般化して示した公的資料は確認できませんでした。最終判断は都道府県税事務所です
職業欄の書き方で税額をコントロールする話ではない——ここだけ押さえれば十分です。
電気通信事業の定義は、設備を持つ側の言葉
列挙にある「電気通信事業(放送事業を含む。)」は、名前だけ見ると配信に近そうに見えます。総務省の通知(地方税法の施行に関する取扱いについて・道府県税関係)の(5)は、こう定義しています。
電気通信事業(放送事業を含む。)とは、対価の取得を目的として、他人の需要に応ずるために、有線、無線その他の電磁的方法により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けるための電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、又は電気通信設備を他人の通信の用に供する事業をいうものであること。
定義の中心は「他人の通信を媒介し」「電気通信設備を他人の通信の用に供する」です。設備を持って他人の通信を運ぶ・使わせる側の言葉で書かれていて、アプリの上で自分の配信を届ける活動とは、定義の言葉が対応しません。
ただし、これは定義の文言を読んだ範囲の話です。ライブ配信をこの業種に当てはめるかどうかを示した公的資料は確認できなかったので、当サイトでは「当たらない」とも断定しません。もう1つの「演劇興行業」は、通知の事業税の章に定義そのものが見当たりませんでした(2026-10-27 に確認)。
通知の定義に「配信」という言葉は出てこない
法定業種の中身は、地方税法の条文だけでなく、総務省の通知(地方税法の施行に関する取扱いについて・道府県税関係)が業種ごとに定義しています。たとえば「コンサルタント業」は具体的な名称まで列挙され、「デザイン業」は含まれるデザインの種類が並びます。
その事業税の章を通しで確認すると、「配信」「動画」「インターネット」「ライブ」「タレント」「芸能」のどの語も1度も出てきません(2026-09-30 に確認)。
つまり、ライブ配信を名指しで扱った公式の定義が、そもそも存在しないということです。「配信業は何種ですか」に一言で答えられないのは調べ方の問題ではなく、定義の側に無いからです。だからこそ判定は実態で行われ、最終的には都道府県税事務所の判断になります。
教える配信なら、定義が近づく業種がある
ただし1つだけ、内容によっては定義が近づくものがあります。同じ通知の(17)です。
諸芸師匠業とは、茶、生花、舞踊、音楽、和洋裁、角力、柔道、語学、囲碁、将棋等を対価を得て教授する事業をいうものであるが、事業所等と認められるものを有しない程度の小規模なものについては、課税しないことが適当であること。
「教授する事業」であることが要点です。語学・音楽・囲碁将棋を教える配信は、この定義の言葉に近いところにいます。一方で、雑談や歌の配信をこれに当てはめる記載は通知にありません。
もう1つ、この(17)には小規模なら課税しないことが適当という記載が付いています。ただしこれは諸芸師匠業についての記載で、他の業種に広げて読めるものではありません。当てはまるかどうかを一般化した資料は確認できなかったので、当サイトでは断定しません。
配信そのものを名指しした定義
通知に無い
「配信」「動画」「インターネット」の語が事業税の章に1度も出てきません。
語学・音楽などを教える配信
諸芸師匠業の定義に近い
「教授する事業」と定義されています。該当の判断は都道府県税事務所へ。
雑談・歌などの配信
当てはめる記載は無い
実態で判定されます。名称で決まる話ではありません。
総務省「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」の事業税の章で確認した範囲です。該当するかどうかの判断は都道府県税事務所です。
まとめ
- 職業欄に決まった書き方はない。ライブ配信業・タレント業など実態が伝わる言葉で
- 法定業種の一覧に配信業の名前は見当たらないが、判定は実態。最終判断は都道府県税事務所
- 列挙の「電気通信事業(放送事業を含む。)」は、通知の定義が設備で他人の通信を媒介する事業の言葉。配信する側とは言葉が対応しないが、当てはめの判断は都道府県税事務所
- 具体的に書くのは事業の概要欄(何を・誰に・どの経路で)。確定申告書の職業欄はその年の実態で兼業も全部
- 総務省の通知(事業税の章)にも「配信」「動画」「インターネット」の語が1つも無い。答えが1つに決まらないのは定義の側に無いから
- 教える配信だけは「諸芸師匠業」(茶・生花・舞踊・音楽・語学・囲碁将棋等を教授する事業)の定義に近づく。該当の判断は都道府県税事務所へ
- 事業主控除290万円・青色控除の加算・事業開始等申告書は共通編へ
- 職業欄で税額は変わらない。実態どおりに書く
次は収入がいくらから確定申告が必要かです。

