フードデリバリーの配達員には、働き始めた瞬間から確定している前提がひとつあります。あなたは雇われていない、ということです。
配達員は個人事業主という前提
多くのフードデリバリーで、配達員とプラットフォームの関係は雇用ではなく業務委託です。つまり——
- 報酬は給与ではない → 年末調整が無い
- 源泉徴収も原則されない → 税金は自分で申告して納める
- 開業届・確定申告・経費の記録は全部自分の側の手続き
「アルバイトの感覚で始めたら、実は個人事業主だった」が配達員の典型的なつまずきです。契約形態は各プラットフォームの規約で確認できます。
配達で事業側に近づく形
判定軸は通達35-2の「社会通念上事業と称するに至る程度か」と帳簿の保存です。週末に数回だけなら雑所得側、継続的に稼働して報酬と経費の記録を付けているなら事業側に近づきます。稼働記録がアプリに残るのが配達の強みで、それがそのまま按分の根拠にもなります(経費の記事)。
乗り物によっては国に出す届出がもう1つある
税務署に出す開業届とは別に、運送事業としての届出が問題になる場合があります。根拠は貨物自動車運送事業法です。まず定義から。
この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。
そして届出の条文です。
貨物軽自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、営業所の名称及び位置、事業用自動車の概要その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない。
ここで効くのが「自動車」の意味です。同法2条5項は道路運送車両法の定義を引いていて、その2条2項は「次項に規定する原動機付自転車以外のもの」を自動車としています。原動機付自転車の範囲は国土交通省令(道路運送車両法施行規則1条1項1号)にあります。
内燃機関を原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く。以下同じ。)にあつては、その総排気量は〇・一二五リツトル以下、その他のものにあつては〇・〇五〇リツトル以下
自転車で配達する
「自動車」ではない
道路運送車両法の自動車に当たらないため、貨物軽自動車運送事業の定義に入りません。
125cc以下のバイク(原付)
「自動車」ではない
二輪は総排気量0.125リットル以下が原動機付自転車です。
125ccを超えるバイク
「二輪の自動車」に当たる
貨物軽自動車運送事業の定義に入る側です。
軽自動車(軽バン・軽トラ)
「三輪以上の軽自動車」に当たる
同上。届出の要否は運輸支局へ。
条文の当てはめの整理です。実際に自分が届出の対象かどうかは、管轄の運輸支局に確認してください。
[!IMPORTANT] 自分の配達が「他人の需要に応じ、有償で、貨物を運送する事業」に当たるかどうかを、当サイトでは判断しません。 条文はここに置いたとおりで、当てはめは契約と実態によります。軽自動車や125cc超のバイクで配達を始めるなら、税務署の開業届と別に、管轄の運輸支局に届出の要否を確認してください。自転車・原付だけで配達している場合は、条文の定義から外れます。
配達員には労災の特別加入がある
税務ではありませんが、配達員が開業届とセットで知っておくべき公的制度です。労災保険は本来労働者のための制度ですが、特別加入という枠があり、厚生労働省の案内のとおり対象が広がってきました——令和3年9月1日から自転車を使用して貨物運送事業を行う人(フードデリバリー配達員を含む)が加入できるようになり、令和6年11月1日からはフリーランス(特定受託事業者)全般に広がっています。
業務中のケガの補償は、雇用されていない配達員には自動では付きません。自分で入りに行く制度があることを、始める段階で知っておいてください(費用と手続きは経費の記事で触れます)。
共通の手続きは共通編へ
期限(「1ヶ月以内」ではなく確定申告期限まで)・判定軸・書く欄と本人確認・青色申告承認申請書の期限・扶養と失業給付は開業届の共通編へ。
まとめ
- 軽自動車や125cc超のバイクで配達するなら、開業届とは別に運送事業の届出の要否を運輸支局に確認する(自転車・原付は条文上の「自動車」ではない)
- 配達員は個人事業主。年末調整が無く、申告も記録も自分の側
- 継続的な稼働+報酬と経費の記録が事業側に近づく材料。稼働記録は按分の根拠にもなる
- 労災の特別加入という公的制度がある(自転車配達員は令和3年9月から対象)
- 期限・判定軸・書き方・扶養と失業給付は共通編へ
次は職業欄に何と書くか、収入の基準はいくらから確定申告が必要かへ。

